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紋匠師・織デザイン

 一言でいうと織物デザイナーみたいな感じです。 織物には2種類あって、ジャカード織りで織り柄をつくるものとできあがった織物にプリントするものがあります。 このジャカード織の意匠図や紋紙をつくるのが紋匠師の仕事です。 織物は縦糸と横糸とで織りなされていますが、縦糸を上げるか下げるかしたところへ横糸が入っていきます。 縦糸と横糸は密度が違うので、それを計算しながら織り方を設計していきます。  

 また、縦にも色を使うし、横にも色を使うので、それが合わさったらどんな色になるかも考えます。 こうして作った設計図が意匠図というものです。マス目1つが縦糸と横糸の交差点。これがずっと連続して柄になります。この柄を織るために、ジャカード織機を制御するパンチカードを紋紙といいます。

 同じ柄でも織り方を変えることで全然違うものが出来上がりますので、ここをどういう織り方にするかとか、織ったらこんな感じになるだろうなと想像しな がらつくる部分があります。 たまにデザイナーさんが描いたデザイン画を持ち込まれることもありますが、織物にすると丸が丸に見えないなど、描かれたデザインどおりに表現できないので、ジャカード用に直したりします。

 弊社では、主に「タオル」と「花ござ」の紋匠の仕事をしています。 タオルは、経糸と緯糸で形成する生地にパイル経(ループ)を出したり出さなかったりということで表現する織物です。 花ござは、主に緯糸(いぐさ)で表現する織物で、西陣織の帯の構造とも共通する部分があります。 これは、タオルの世界でも活かされてきた技術です。 絨毯やカーテンの柄だったり、他のファブリックや着物の柄だったり、あらゆるものからヒントを得たりアレンジしたりして、花ござ用にデザインを落とし込んでいきます。

 織物は、経糸を上げ下げしたところに緯糸を走らせ 経糸と緯糸を絡ませることで織物が形成されます。その経糸を上げ下げする指示を操作するのがジャカードの役割です。 その指示を出すのが紋紙の役割です。 (今は、USB から電気信号で指示を出します。) その紋紙をつくる仕事を生業とさせていただいております。ジャガードができる前まではその役割をする人(空引きさんと 呼ぶ人)が 空引き装置を利用して人の手で引き上げて、その役割を果たしていました。 私の4 代前の義父に当たる伊達弥助たちが、明治 6 年日本政府からウイーン万国博覧会に派遣され日本にはじめて西洋式ジャカードを持ち込んで来ました。諏訪家は、300 年前から祖父の時代まで代々西陣織の織り元として織物に関わってきました。祖父が、織物の指導員として愛媛県の今治染織試験場に赴任してきたことがきっかけで今治の地に住み着くようになります。退職後、父弘一と共にタオルの紋匠の会社を立ち上げ、60 余年になります。前の東京オリンピックの年 1964 年(昭和 39 年)に花ござのジ ャガード織に関わることになります。1984 年入社。西陣織の織技術をタオル世界に導入し、花ござの世界にも導入していくことで、タオルの世界、花ござの世界に新しい織物の世界を展開してき ました。これからも見たことも無い織物を創造していけたらと考えています。

・花ござについて